多数派の余裕がムカつくんですけど

炎上し暴徒が叫ぶ、故郷イギリスの今(2) - Time Out Tokyo (タイムアウト東京)
London の暴動(私の体験) - makotoiの日記:from London


イギリスの暴動を受けて、移民問題について考えていた。日本では移民受け入れに慎重な姿勢が根強いが、今回の事態を目の当たりにして、それに対する不安感はより高まっているだろう。移民を受け入れた場合、相対的に治安は悪くなるだろうし、人種間での差別感情は避けられないのではないか…。そんな思いをたしかに僕自身も持っている。


ただ問題は、日本の未来には超高齢化社会が待ち構えているという点だ。人口の減少で国内マーケットは縮小に向かうし、グローバル化というのは世界全体で富の移動が起こる事なので、日本は貧しく(他国より相対的に豊かな日本から、富の流出が起こる)なって行く。これ自体は避けられない。
それに加えて、若者世代にのし掛かる高齢者福祉に関する負担増(金銭面・労働力)。とにかく若い世代を増やす事が喫緊の課題なのだけど、この問題に対する現実的な解は、移民受け入れしかないと言われている。*1


要するにもう「移民受け入れには慎重であるべきだ」とか言ってられん状況になりつつあるんだよ、日本も。現実的に考えれば、実施時期や規模とかの問題の議論を始めるべき時期なんだろうなー。といいつつ実際には、選択する余地が本当に無くなってから、なし崩し的に舵を切る事になりそーだけどさあ。


・・・でも、それって最悪パターンだと思うんだよね。*2


欧州諸国を見るに、自国民と移民の間での差別感情、そして分断が起こっている例は多い。で、その問題の根っこには、「あいつらが俺達の富を奪いやがった!」という国民側の誤解があったりする。*3
「でも本当は違うじゃん」。先細りして行く国を支える労働力として受け入れる事を決定した過去があるわけでしょ?その事をもっと国民全体で共有しないといけないのじゃないのかな〜。まあとは言え、既に移民問題が複雑化してるヨーロッパでそれをやるのは超絶難しいのだろうけども・・。
ただ幸いにもこれから始める日本は、欧州を反面教師とすれば良い。というか絶対にすべきで、今のうちから「移民受け入れは必要だよね」という認識を共有してかなきゃいけないと思うのだ。


「コンセンサス」はいつ得られるのか――3つの条件 - on the ground

たとえば世論調査で国民の7割から8割が原発の停止・廃炉に賛成しているとして、それをコンセンサスと見なしてよいのかどうか。もし「よい」と考えるのなら、その人はコンセンサスと多数決の違いを理解していません。


ある方針・政策(policy)や決定に7〜8割の人が賛成しているところで、残りの少数が強硬に反対する場合、その対立をどのように調停し、実行可能な選択肢を見出していくかという局面に、コンセンサスへ向けた努力が現われるわけです。


日本は議論が苦手な国で、正解のない問題に対しても、とにかく「結論」を急ごうとする。でも本当に大事なのは「議論の過程」であるはずで、「なぜその選択をするのか」という問いに対して、賛成派だけでなく反対派にもある程度「納得」させるというコミュニケーションが必要だと思う。100%意見を通すとか、100%受け容れるなんて事は到底無理なんだし、対話を通して互いの妥協点を粘り強く探る、これしかない。


原発問題を御覧なさい。反原発派は首尾一貫して原発の存在意義を認めてなくて、原発運営に自分達は一切関与していないと思っているわけでしょう。だから事故が起これば「言わんこっちゃない!」となるのは当然じゃないかな。そして推進派もまた、「関わってくれなくて結構だ」と思っていたりして。なんだこの断絶


妥協点を模索するというのは、選択に対しての責任を共有するということ。その共有のプロセスによって、問題が起きた時も「あの時、俺達も一応認めたよな」という意識に繋がるわけですよ。そこはもっともっと重視されるべきではないかなー。
多数決はその合理性がゆえに、異なる立場を表明する者同士の断絶を極めて生みやすい仕組みだと思う。よく分かってなくてもとりあえず意見表明できる(容認・現状維持が多くなりがち)し、強硬な反対意見があってもそれが少数派であれば実質的に無視できちゃうルールなわけだからさ・・・。多数決に最適化された僕たち日本人の思考や議論は、いい加減見直す時期が来たということなんじゃないか。


「感情的にならず、論理的に話をしよう」とは皆言うけれど、これって多数派・現状容認派が(その余裕から)言ってる場合が多いと思う。負ければ封殺される少数派からしたら、そりゃムキにもなるでしょうよ。「多数決がゴール」の議論を変えて行かない限り、「間違いを認めない多数派/ヒステリックな少数派/無関心な中立派」の構図から脱出できない気がするのだが、どうだろう?

補足

ちなみに移民についての不安は、「誤解」に基づく部分も多々あるかもしれない。現実的な選択肢として存在する以上、きっちり向き合って考える必要がありそうだね。


世界と反対方向に走る私たち - Chikirinの日記

世界は今、「ハイエンド移民」の取り合い合戦を始めている。一番成功しているのはシリコンバレーだ。世界中から「最高の頭脳」と「圧倒的なリーダーシップ」のある人材を呼び込むことに成功している。


で、日本は?


「工場で文句も言わず、労働基準法以下の条件でも働く単純労働者移民を入れてくれ!」と経団連は言う。しかもそれ以外では、国民は移民を必要とさえ認識していないのだ。「移民が増えたら犯罪が・・・」とか未だに言ってる人がいる。


世界がほしがっている移民とは全く違う移民を日本は受け入れたいってことらしい。世界が必死になって集めている移民を日本はほしいと全く思ってないらしい。

*1:諸説あるけど、僕も今のところそれに近い印象を持っているよ

*2:まあ日本においては、このパターンが既定路線ですけどね!

*3:勿論、それだけではないと思うけど、今回は省略省略〜!