なぜ「カロリーオフ」食品は美味くないのか

コカコーラゼロに始まり、糖質ゼロのビールにお菓子。いまやカロリーオフ・糖質オフ全盛の時代であります。例えばジュースやガムは、人口甘味料の開発によって、甘味の獲得と摂取カロリーのセーブが可能となりました。
しかしながら、○○オフ商品はやはり美味くないというか、「偽者」の匂いを感じる人も多いことでしょう。なんででしょうね。


これってさ、結局我々が求めているのは「甘味」ではなくて、砂糖そのものということだと思うのよね。砂糖にはそれだけの魔力がある。チョコレートだって、高濃度カカオは不味くて全然食べたいと思わないど、砂糖がたっぷり入っていると最高に美味しいもん。あれ、理由になってないか?


そもそも、なぜ砂糖は美味いのか。「アミノ酸が〜」とか化学成分的なことは知らないけども、要は快楽を生み出す成分の塊だからでしょう。現代人の食文化は、生命活動の維持という目的を超えて、「美食」の要素が大半を占めています。これは紛れもなく快楽の追求に他ならず。空腹でないのに何かを食べるという行為は、人間以外の動物ではあり得ず、人間だけに与えられた特権であるのは間違いありませぬ。


と言っても、コレ自体の善悪を論じたいわけじゃないです。私自身、趣味は食べ歩きだし、その恩恵は人一倍受けていると思っているんで。心の底から楽しむことが自分達のために犠牲になった生命への報いだとは思うけれど。ただ一方で、グルメってジャンクな嗜みだよなあとは常々感じるよね、という話。


話を戻しますが、美味いものの代表格である、砂糖・肉・脂は、例外なく体内での消化負担が極めて高いです。美味いものほど「重い」のです。極端かもしれないけど、グルメは本質的にドラッグと同じなんですよ。程度こそ違えど、快楽の代償に、身体を痛めつけるのだから。生活習慣病と呼ばれる症状が世界中で問題になっているけど、先進国は皆、クスリ漬けになっているんです。その事はもっと自覚した方が良い。


その意味で、カロリーオフの商品は最も本質的な「美味さ」の要素を排除しているのだから、本物と比較できるものであるはずがないよね。『カロリーは摂取したくない。でも甘いものは食べたい』というニーズを汲み取り、きっちりとそれに応えようとする商売人の姿勢は素晴らしいと思う。でもその一方で、「リスクを犯さず快楽だけを得たい」という現代人の姿勢には、結構狂気じみたものがあるよね。
むしろ技術的な面では、本質的要素を排除した上で、科学的に「美味い」を錯覚させるテクノロジーが将来生まれるのであれば、それはそれで興味深いけれど。


ヤマザキパンフリークの友人が、『カロリーと美味さは比例する!』と断言していたけれど、言い得て妙というか、まさに真理だと思う。


なんて、カロリーオフに惹かれて買ったドリンクがクソ不味かったので、選んだ自分に腹が立って思いついてみただけ。