杉並区議会議員に聞いた話あれこれ

昨日、杉並区議会議員の渡辺ふじおさんと飲む機会があり、杉並区の区政について色々お話を聞いてきました。先日の参議院選挙と同時に杉並区長選挙が行われたわけですが、そもそも区政の現状ってさっぱり知らないし、自分自身も含め、正直国政と比べると関心が薄いという区民がほとんどではないのかなーという印象を持ってます。
でも本来、1番身近な政治として関心を持てたら良いよね、ということで渡辺さんに伺った内容を簡単にまとめてみました。

いま議会で話題なのは?

田中区政のスタート

とりあえず1番の話題は新区長が誕生したことです。田中氏は民主・社民らの支援を受け、山田前区長が支援する千葉奈緒子(田中氏とはかつて夫婦関係にあったらしい)らを破り当選した人物。

当選直後、「いったん立ち止まって検証し、継承すべきものと新たに始めるべきことを仕分けたい」と語った通り、ひとまずは前区政の良い部分は継承しようというスタンスだそう。あとは田中区長自らが主導してアクションを起こせるかに注目。

小・中学校へのクーラー設置について

一瞬、「小学校にクーラーなんて必要なの?」と思ってしまうような話題ですが、実はいま夏場の教室の高温化による熱中症が大きな問題になっているらしい。何でも10年前とかと比べるとどんどん夏場が前倒しになってきていて、所謂「猛暑日」といわれる期間が長くなっていることが原因です。
7月20日頃から夏休みが始まるわけですが、我々が子供の頃はそこからちょうど熱帯夜が始まる時期に重なり、それを前提に夏休み期間が設定されていたんだって。でもいまは年によっては6月でも猛暑日が来てしまうため、教室での対応が不可欠ということなんですね。


また、東京は光化学スモッグ注意報が出ると窓を閉め切ってしまうため、そうなると室温は40度近くまで上がってしまう。実は、東京23区内でクーラー設置が実現していないのは杉並区だけだそうで、これは山田前区長の方針でもあったのだとか。熱中症対策の必要性は理解しつつ、「子供をクーラー漬けにして(甘やかして)良いのか?」という主張もやっぱりあるそうな。ただ山田前区長の退任に伴い、早期設置の方向で概ね話は動いているようですよ。

感想

「区政のいま」ということでは、新区政が始まったばかりであることや、そもそも財政が黒字であることもあり、ぶっちゃけ区民全体が問題意識を持つような話題は少ないのが現状なのかなという印象。まあこれは東京都内全体に言えることかもという気はします。何を削るか、どうやって財源(国からの地方交付税とか)を確保するかを真剣に考えないといけない、お財布事情が厳しい地方なんかとは善くも悪くも危機感が違うのかなとは思っちゃいますね。

区政の在り方

杉並区を魅力ある地域に


from 杉並区 - Wikipedia

上のグラフを見ると分かるように、杉並区は20〜30代の割合が多い地域なのです。なので、この世代に元気になってもらうことが地域の活性化に繋がります。ただ政策的にそれを実現することはなかなか難しい。これは日本全体を考えてもそうですが、高齢者や子供への優遇政策は受け容れられやすく、また票にも繋がるのですが、若者に対する還元というのは容易ではありません。


渡辺さんは、杉並区には音楽・作家・パフォーマンスといった芸術に携わる人口、特に若い世代が多いため、それらの層に対する支援を行うことで地域の活力に出来ないかと仰っていました。また日本のように成熟した社会では、文化的価値観をポジティブに捉えることが人々の幸福に繋がるとの考えもお持ちのようで、これは私も賛成!


また、IT業界で仕事をしている人も多く、それらの人材リソースを上手く活用して、ITに特化した地域作りという話題も。たとえば杉並区全域にWi-Fi通信網を張る構想や、役所のWEBシステムを区内のIT従事者に発注できないか等、ネタを含め具体的な話題が色々でてきました。ちなみに、高円寺では住民たちが中心となって高円寺WiFi化計画(twikoenji)のディスカッションが活発に行われています。

無関心な区民

無関心という表現は、あくまで私の言葉のチョイスです。念のため。
財政的にも東京は余裕があるし、ピンポイントな話題を除けば自分の生活に直結するような政策が話題になることはあまりなさそうで、それが無関心に繋がってる気はします。ある意味それは幸せなことで、別に良いのかもしんない。とはいえ、今起こってる身近な問題に関心を持つことができればベターとは思うです、やっぱり。


国政と比べて区政に関する情報って極端に少ないですよね。まあ対象範囲を考えると当然なんですけど。本来なら一次情報を持っている議員の方が発信できれば良いのですが、限られた収入(国会議員の3分の1程度)の中で秘書を雇うことも難しく、また自主的な広報発行(もちろん自腹)も苦しい状況なのだそうです。


個人的に思うのは、国政の場合だと議員本人以外にも専門家や賢い一般人がブログとかで分かりやすく解説してくれるみたいな、ああいうのがあると良いよね。区政の情報も公開はされているけど、堅い文章のPDFが置かれてるだけじゃ見ないよね、一般人は・・・。杉並区の情報をまとめてるようなサイトってあるのかな?あったら知りたいなー

区議会議員という仕事

オンとオフが難しい

24時間・365日プライベートなんてないよね、というお話。まあこのあたりは容易に想像ができますよね。政治に関わる者には潔癖さが求められるし、理不尽な陳情も無下に扱うわけにもいきません。頭の沸いたようなおっさんが自宅までやってきても、「はあ?」とか言っちゃ駄目なんです。大変なお仕事だなあ、ほんと。

朝立ちの是非

駅前でマイクを持って声高に叫ぶアレ、やはりあの活動に対する違和感は議員さん自身もお持ちのようでした。ただそうは言っても、区民との接点は広報やネット上での活動に限られており、朝立ちによる営業活動も無視できないものなのだとか。


かつての戸別訪問(現在は禁止されてます)のような方法が必要と渡辺さんは仰っていましたが、ネットを使えない今の高齢者世代はともかく、我々の世代にその手法が受け容れられるとは考えにくく、先を見据えた広報活動を考えていく必要がありそうだな〜と感じました。

さいごに

その他、世間話やラーメン談義など楽しく話しをさせていただきました(笑)
私は渡辺さんの所属政党自体は不支持なのですが、議員さん個人とお会いしてみると印象が変わりますね。やはり党単位ではなく、個人単位で支持するのが自然だなあとも思ったり。いや、面白かったです。またぜひお話したい。


渡辺さん、そして今回飲み会をセッティングして下さった中澤さん(@kazuyank)、ありがとうございました!

追記:「Wさん」と記載していましたが、渡辺さんご本人より了承をいただきましたので修正しました。