自分、そして未来の子供たちのために

社会人4年目を迎えた私とって非常にタイムリーな1冊。
本書は「昭和的価値観」の根源にある年功序列制度の問題を指摘し、近年日本の社会全体を覆う閉塞感の根源がそこにあると言及する。前半部分では延々と年功序列という古い体質の実態を語られ、問題の根深さ・陰湿さに落胆を覚えるかもしれない。ただそこから最終章に向かって「働く理由を取り戻し、自らの手で道を切り開く」ことの重要性が語られて行き、その「主体性」こそが希望なのだというメッセージで結ばれている。



こちらはその続編的書籍。前著の最終章にもあった「既存のレールを降りたアウトサイダー」の紹介に主眼を置いた内容。具体的なシーンが取り上げられることで、より実感を持って問題の本質と向き合えるように思う。

就職とは、それまで民主的社会でつちかってきた個の価値を一度否定し、組織の論理に染まる儀式のようなものだ。”立派な社会人”からすれば、「社会に出るとはそういうこと」であり、「それができない奴は甘えている」ということになる。

私が大学進学や就活など、進路決定の節目で感じ続けてきた違和感が、まさにこれ!
「自分のやりたいこと、やるべきことは何か?」と自問してみても、簡単に答えなど出ない。だが就活期間は当然待ってはくれない。自分自身の問いに真摯に向き合う程に、社会から未熟さを突きつけられ苦悩する日々。それをやり過ごしながら、結局「なんとなく」自分なりの答えに折り合いをつけ、社会人となったような感じだ。

私だけでなく、同世代の方はこれに近い感覚を持っているのではないだろうか?いま改めて考えても、これは企業と自分自身のどちらにとっても明らかに不幸だ。

本書でも語られている通り、年功序列が機能していた時代は確かにあったし、だからその世代の方が持つ感覚までは否定しない。だが、私たちはもうそこに希望を思い描くことはできない。希望のない社会で個が輝きを放つことなんてできないのだと思う。

だから私たちは勇気を持って自分の道を進むしかない。今の政治や社会に蔓延する閉塞感は、誰も責任を取ろうとしていない点にあるんじゃないだろうか。私はせめて自分の人生くらい、主体性を持って取り組んで行きたい。

そして社会という側面でより重要なのは、次の時代の子供達に希望ある未来を示して行くことだ。先人達の功績を正しく受け継ぐことだけでなく、過ちを正す役目を買って出る姿勢がもっとあって良いと思う。「オレ達が悪いんじゃない」と言うだけでは何も解決しない。様々な面で「過渡期」を迎えた今、我々は「次世代への橋渡し」という重要な任務を担っていることを、自覚するべきではないかな。