疎開しました〜東京に住むリスクを考える〜

この度、東京・高円寺を離れ、北海道・札幌へ移住することになりました。
移住の理由はいくつかありますが、一番大きな理由は疎開です。いま関東・東京に住むという事に、一定以上のリスクを感じているためです。*1

その事について、現状認識を記録として書いておこうと思います。

原発問題

何といっても今一番大きな心配事は、原発問題です。食品の安全性問題、そして東北・北関東に加え東京の被爆という事態まで発展し、未だ予断を許さない状況が続く福島原発事故。根底から揺らいだ原発政策、そして政府に対する信頼。また、原発推進派・反原発派・中立派(無関心層)入り乱れての「安全」「危険」の議論。
専門家でない我々にとっては、判断が非常に難しく、原発に関する情報に対して疑心暗鬼になってなっています。さらにはデマに対する強烈な警戒心から、原発問題に関しては「なるべく傍観していよう」という空気がいま生まれているような気がします。


ともかく、「何が正しい情報なのか分からない」という混乱の中に僕達は居るわけです。ただ、今の状況を極力客観的に見て、「最悪の事態を想定する」事が僕自身の選択として最善と判断しました。最悪の事態とは、「今後東京には住めない程の放射能汚染が広がってしまう状況」*2です。


今の政府の判断、また震災直後の通勤等を通して多くの人が実感しているのではないでしょうか。「自分と家族の安全を守れるのは自分しか居ない」と。未曾有の事態に対しては責任の所在をいかに追及しようと、万が一被害者となった場合、その代償の多くを支払うのは自分自身です。僕はそれを避けたい。だから避難です。
結果的に「大袈裟だった」であればラッキー、もし東京に何かあれば逃げておいてラッキー。もちろんベストは前者ですが。。

震災リスク

東北の大震災以降、多くの人が「次の大地震」を警戒していると思います。僕もさらなる大地震の可能性は、リアルにあると思っています。中でも関東直下型、或いは関東沖合での津波を伴う大地震が怖い。


もちろん、地震はどこで起きるか分かりません。逃げて来た北海道が震源になる可能性だって当然あるわけです…。ただ、日本における大地震の中でも、首都圏が震源となる場合とそれ以外では、深刻さが全く違うと思います。東北地方太平洋沖地震の被害が甚大であった事は言うまでもないですが、これが東京で起こったものであれば、即座に「日本終了」となった可能性は高い。万一、次の震災で自分が被災者となるのであれば、東京大地震の被災者と、北海道(東京以外)大地震の被災者のどちらがマシか、それを踏まえて判断しました。


もちろんこれは東京に住む以上、常に付き纏う話です。ただ、とにかく今は大転換の時代を迎えているのだと思うのです。逆説的に言うならば、変化のキッカケになるような「事件」を常に警戒し、そのための保険をかけるべき時ではないかと。ちょっとぶっとんだ話かもしれないけれど、ここ最近の「日本が詰んでいく」展開には、今後のより大きな混乱を予感せずには居られません……。
備えて損なしの時代だと僕は考えます。

巨大都市における災害リスク

前述の内容と重なりますが、東京のような巨大都市で災害が起こった場合、直接の被害だけでなく、被災後の生活も他の地域とは大きく異なるのだろうと思います。政府対応も混乱を極め、物資もなかなか届かないかもしれないし、皆が殺到して買えないかもしれません。交通機関も麻痺するので、移動も難しいかもしれません。としたら、皆が「マズイ」と感じてから動き出すのでは遅い。逃げたくても逃げられない、そういう事態に直面して、多くの人々と同様にパニックに陥る事だけは避けたい。


また、自分が東京から去ることで、他の誰かが助かる可能性をほんの少し上げることになるかもしれない。いま僕は仕事的にも家族的にもある程度自由が利き、比較的移動がしやすい人間です。であれば、必然性を持ってそこに残る人達の為にも、その「枠」を譲りたいと思いました。

「備え」の重要性

備えることの意義は物資の蓄えだけでなく、パニックを回避するという面は大きい。備えずに災害に直面すればほぼ間違いなくパニックになります。『なんとかなる』は結果的に助かった人が言っているだけで、それは根拠のないカラ元気に過ぎません…。逆に「備え」があれば、不安によるストレスを軽減する事が可能だと感じています。リスクを感じれば逃げる、これも有効な「備え」だと思います。


いざ「避難」となった時に大きな障害のひとつは仕事でしょう。自分の場合はこうした事態に備えて、自由の利く働き方を志向してきたし、多少の無収入期間があっても死なない程度の貯蓄を準備してきました。実際、今回の移住は3月中に決断し、継続依頼のあった案件も5月以降はお断りしました。まあこればかりは、誰もが今すぐどうにかできるものではないかもしれませんが。。


ただひとつ言えるのは、今この時代は、身軽で居る事が最大の武器になるのだろうということです。逆にいえば、いまは積極的に抱えるもの(家、車、子供など)を増やす時期ではない、と思います。そして守るべきものがある人は、優先順位をしっかり決めておくべきでしょう。仕事を捨てる決断に迫られる可能性も、リアルに想定しておいた方が良いかもしれません。*3


「逃げたくても逃げられない人が居る」、「強者の理屈だ」、確かにそうした面はあるかもしれません。僕も弱者は可能な限り救済される社会であるべきだと思っています。しかしいまの日本は、残念ながらそうではない。危機に直面した時、最終的には自分の判断で乗り越える以外にないのです。


いまの僕が守るものは幸いにもさほど多くないけれど、自分の人生と恋人の安全だけは絶対に守りたい。そして、東京に残る友人達にはどうか無事で居てもらいたい。
僕の切実で勝手な思い、祈りとともに迎える、6月です。

*1:ただ現時点では永住の予定は全くありません。状況次第で、極力早い時期に東京に戻りたいです。。

*2:勿論、さらに悪い事態に陥る可能性もあるわけですが、そこに至るまでにまず「東京終了」が起こってしまうはずです。

*3:ここに書いた判断はあくまで超個人的なものです。不安を煽る意図は勿論ありません。。