経済っておもしろい

昨年あたりから政治・経済の話題をチェックするようになったのですが、世の中の動きを知ることはとても面白いですね。
ただ聞きなれない言葉や、耳にするけどよー分からん的なキーワードに当然出会います。それを逐一調べて、さらに興味が広がっていくのがまた楽しいのだけれど、やはりその分野に精通した方の文献を読むと非常に効率が良いですよね。本当に有難い。

今回読んだのは竹中平蔵さんの本。経済の仕組み平易な言葉で解説されていて、とても読みやすいです。2002年出版ですが、経済学の基本となる部分(税制や株式の仕組み等)が中心なので、時代を問わず読める本ではないでしょうか。

本書の中で竹中さんが考える経済のあり方、政府の役割についても触れています。竹中さんが構造改革に取り組んだ上での信念が垣間見える内容です。最近になって、小泉・竹中の構造改革が批判されており、アメリカでも「小さな政府」という在り方が見直される向きがあります。ただこの部分について、我々は「あれはマズいね」と単純に片付けてしまうべきではないでしょう。

竹中さんが主張する政府の役割とは、市場の暴走を規制によって監視する役割、失職者の保障を行うセーフティネットの整備はしっかりと行った上で、1度失敗した人が再度挑戦できるような仕組み(規制緩和)が必要だとしている点は注目すべきでしょう。
現状は規制緩和にばかり焦点が当てられて批難が集中している感じですが、要はセットで行うことがキモなのですよね。例えば、派遣労働法の改正とかをやったなら、そこから生じるリスク対策をきちんとしなければいけない。
だから今問題視されるべきなのは、セーフティネットの対応が不充分な点であり、構造改革そのものが問題だと騒ぐのは責任を逸らしているに過ぎないと思うのです。もちろん構造改革の内容自体も随時チェックされるべきですが。

あと別の主張で印象に残ったのは、国際会議などで諸外国がバンバン意見を出す中、日本からは全く出ないのだそうですが、その理由は欧米は政府に学者が入っているのに対して、日本は役人が利害の調整を行っている仕組みになっている点にあると主張しています。そんなのはダメだ、民間人を積極的に入れろと。このあたりも「かんぽの宿」問題での姿勢に繋がっていくのですね。

そういう背景的な部分が見える要素もあって余計に面白さを感じました。もちろん本題である経済学入門的な内容は秀逸なので、どなたが読んでも参考になると思います。